〜薬物療法〜

薬物療法でよく使われる「抗うつ薬」の種類と特徴

心身の休養を助ける「抗うつ薬」
 「抗うつ薬」は、抑うつ気分を晴らすだけでなく、意欲を高めたり、不安や焦りを落ち着かせる作用があります。また、不眠や食欲不振などの身体症状にも効果を発揮します。
 即効性はありませんが、ひとたび効果が現れると、作用が持続する薬です。
 抗うつ薬は、化学構造の違いによって、「三環系抗うつ薬」「四環系抗うつ薬」「MAO阻害薬」「SSRI」などのグループに分けられます。
 「四環系」は、「三環系」抗うつ薬よりやや軽くなっています。また、「MAO阻害薬」は副作用の問題で発売中止になりました。

三環系抗うつ薬
 特徴は、ほとんどすべての人に確実な効果が期待できるコトです。
 ただし、副作用が出やすいというデメリットもあります。口の渇き、便秘、人によっては立ちくらみ、排尿困難、目のかすみなど起こるコトがあります。
 その他、肝臓や心臓に障害を起こすコトもあるので、定期的に血液検査、心電図検査を行う必要があります。

SSRI
 SSRI(選択的セロトニンサイとり込み阻害薬)は、三環系抗うつ薬よりも副作用が少ないのが利点です。
 しかし、副作用が少ない分、効果も限られます。一般に、軽度の鬱病の人には有効なコトが多いのですが、やはり三環系抗うつ薬でなければ効果が現れない人もいます。
 また、胃腸薬などとの相乗作用が問題になるコトもあるため、他の薬を服用の場合は、SSRIの服用を医師または薬剤師に伝えておく必要があります。

〜「抗うつ薬」服用の注意点〜

副作用の心配よりも、症状の改善が重要
 抗うつ薬は、少量からはじめできるだけ早く増量し、適切な量に達したらしばらくその量を維持し、症状が改善して半年異常経過してからゆっくり減量していくという用い方をします。

飲む量を守る
 抗うつ薬は、一定の血中濃度を保ってはじめて効果が現れる薬です。勝手に量を減らしたのでは十分な効果が出ませんし、効かないからといって独断で量を増やすのも危険です。心臓に負担がかかる薬というコトを忘れてはいけません。
 また、途中で止めてしまうと効果が無くなり、また最初の量からやり直さなければならなくなります。

薬を飲み忘れたときは
 気がついた時点で飲むようにします。一般には、空腹時に服用してもかまいません。胃への影響が気になる場合は、牛乳と一緒に飲めば大丈夫です。2回分の量を続けて飲むのは問題ですが、2時間ほど間隔をあければ、肝臓や腎臓に問題の無い人なら、特に心配はありません。

薬の効果より副作用の方が早く現れる
 薬の効果が現れるのは、服用から2週間前後です。しかし、副作用はそれよりもっと早く現れます。かといって、途中で服用を中止せず、副作用が強い場合は医師と相談しましょう。処方量を減らす、薬の種類を変える、あるいは副作用を緩和する薬を併用するなどの処置をほどこしてもらいます。

良くなってからも半年は薬を服用する
 症状が改善されても、再発を防ぐために、最低でも半年間は同じ量の薬を飲みつづける必要があります。特に、鬱病になったのが2度目、3度目という人は、2年間は薬を服用し続ける必要があります。

その他の注意
 アルコールと一緒に服用してはいけません。(抗うつ薬を服用しているときは禁酒する必要がある)
 抗うつ薬には習慣性(依存性)はないので、安心して服用できます。

〜副作用が出たときの対処法〜

☆口の渇きは、うがいやガムなどが効果的
☆便秘は下剤を使って早めに解消する
☆排尿障害が起きたときは早めに病院で処置を
☆立ちくらみはゆっくりした動作で防ぐ
☆目のかすみは一時的な障害である

〜「抗うつ薬以外に用いられる薬」〜

リチウム
 気分安定薬の一種で、気分の変動を抑える効果があります。本来は躁うつ病に用いられる薬であり、すぐに鬱を改善する効果はありませんが、鬱病を繰り返しているような場合は、予防のために併用するコトがあります。
 量が多すぎると中毒を起こす危険性がありますので、指示された量を守るコトが大切です。

睡眠薬
 不眠症状が強く、抗うつ薬だけでは十分な睡眠がとれない場合は、睡眠薬を併用するコトがあります。少し眠れるようになったからと、量を減らしたり中断したりすると、不眠症状が再発するコトがあります。注意が必要です。

抗不安薬
 不安、焦燥感を和らげ、体の緊張を解きほぐす効果があります。鬱病そのものを治す作用はありませんが、不安が強い場合に併用するコトがあります。
 副作用はほとんどないのですが、精神的に依存しやすいので、必要異常に長期間続けないコトが大切です。

抗精神病薬
 精神分裂病や、躁病の治療に用いられます。通常、鬱病には用いられませんが、睡眠薬では不眠がなかなか解消されない場合や、不安、焦燥感が強い場合に鎮静効果が強いものを使うコトがあります。

漢方薬
 症状が比較的軽く、身体的症状の方が目立つ場合や、抗うつ薬の副作用が強すぎる場合などに漢方薬だけで治療する場合があります。また、副作用を抑える、治療効果を高める目的で、抗うつ薬と漢方薬を併用するコトもあります。

〜その他の治療法〜

点滴静注
 早急に症状を改善する必要がある場合や、薬を飲むコトができない状態のとき、抗うつ薬の効果が2週間たっても現れないときなどに行います。三環系抗うつ薬のクロミプラミンを静脈に点滴する方法で、効果が早く現れるメリットがあります。外来でも可能ですが、一般的には入院して行います。

電気痙攣治療
 重度の鬱病の場合は、この方法が行われます。こめかみ周辺に電極を当てて通電する方法で、即効性と確実性があります。そして、危険な治療法のように思えますが、安全性が高いのも長所の1つです。

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